行政書士がホームページを効果的に活用するための勘所

ウェブサイトはこう作ろう!とかSEO対策はこうしよう!といった内容は、他のサイトやガイドブックに多々情報があるので、それ以外の、おそらくほとんどの媒体で触れられていないであろう点について。

ホームページ(ウェブサイト)集客とか言っても、最終的には電話かメールかでコンタクトを取ってもらって、それ以降の対応で「依頼者」さんになるのか、「相談者」さんのままになるのかが決まるでしょ。

この部分で、フォローができるか否かで受任率がだいぶ変わってくるんだけど、まあこのあたりのことについても、ウェブ集客情報系サイトとか行政書士さんのブログ記事によく載ってるよね。

電話応対や返信メールにも「勘所」ってある

でも、この電話がかかってきたときとか、メールが送信されてきたときに、「ここは受任に至るか否かの勘所だ!」って部分をその都度判断して、よりフォロー入れたり意識しながらやってる人って、たぶんかなり稀なんじゃないかな。と、最近実感し始めたので、ブログに書いてみる。

たとえば、たとえば建設業許可。

「技術者を実務経験で証明したいんすけど」とか軽く聞かれたとき、多くの行政書士さんは「まずは請求書等が、期間分あるかどうか確認してみて、ありそうなら揃えてみてください」的に答えちゃう。

このとき、だいたいの理由は以下3つのいずれかじゃないかしら。

  • 軽く聞かれただけだから、軽く答えておく
  • 請求書の部分はそろえるの難しいから、ここが揃いそうならより詳しく説明してあげる
  • 無料相談で、そんなに詳しく教えたら依頼にならなそうな気がする

結構2番目が多いかな。請求書揃わないことには、話が進まないからなぁ、的な。

でもね、これだと依頼を一定の確率で取り逃すことになっちゃう。ここでは、面倒でも次の例くらいの回答はしておくべき。つまりこの質問に対する回答は、建設業許可の依頼を受任できるかの「勘所」。

  • 技術者の証明は、「こんな工事をやっていました」という実績を証明するのと、「その期間、間違いなく会社にいました」という常勤性を証明するのと、2段階になってる。だから、この2つの証明、両方とも期間分色を塗らないとだめ。もう1回繰り返すね、工事の実績と常勤性、この2つの両方!両方とも資料で確認が取れなきゃ証明にならない。
    だから、もしこれからその技術者さんを雇用するなら、ここ十分注意して、証明できる確証が得られてから雇用してね。

念のため付け加えとくけど、この記事で言ってるところの「勘所」っていうのは、業務の依頼を得られるか否かの勘所であって、建設業許可で大事なところという意味の勘所じゃないからね。

なぜここが勘所になるのか

じゃ、なぜここが勘所になるのかという理由。それは依頼に至っていない段階では、相談者さんがそのあとにどんな行動をとるかとか、相談者さんを取り巻く状況がどうなっているのかとか、わからない状態だから。

最初に挙げたような、ちょっとした簡単な回答だけだと、相談者さんはそのあと「とりあえず請求書がそろってきたし、行政窓口で確認してみよう」と思うかもしれない。このとき初めて「請求書だけじゃダメ、常勤性が確認できる資料も持ってきて!」と言われてしまうと、「あの行政書士、そんなこと言ってなかったけどな」と不信感を抱くことになる。

また技術者だとこれから雇うというケースも比較的少ないかもしれないけど、これが経営業務管理責任者だったら?「請求書も大丈夫そうだし、行政でも「請求書はこれでオッケーです」と言われたし(←常勤性んとこまでは窓口でもフォロー入らないってこともある)、とりあえず役員として登記しとこ」となりがちだよね。登記したのに、実際の申請では「この人を役員に入れててもだめ、なぜなら前職の常勤性が確認できないから」となったら、やっぱり「あの行政書士、そんなこと言ってなかったけどな」となってしまう。

それともう一点。相談者さんの周囲には、行政書士が1名とは限らない。特に、複数取締役がいる会社さんだと、A取締役はX行政書士と前々から知り合い、B取締役はY行政書士と前々から知り合い、って状況もよくある。

で、X行政書士はA取締役に簡単な回答しかしないことによって、A取締役に「請求書が10年以上揃いそうだし、前の会社も許可業者だし、なんだか行けそう」という心証を抱かせてしまう。逆にY行政書士はB取締役に、2段階になってることや雇用(あるいは役員就任)する場合には十分注意してねという点までしっかり伝えている。

こうなると、常勤性が証明できない結果、たとえば新たな責任者を雇い入れることになったとして、そこから許可への仕事を受任できるのは、Y行政書士のほうになる。

だから、技術者の(あるいは経管の)質問をされたときは、伝えることをしっかり伝えておくべき。勘所。

意識することが大事

とか言うと、「そんなケース稀だよ」とか思われる方もいるかもしれない。でもこんな感じの似たケースで、実際うち数件受任してる。それと大事なのは、建設業許可の相談では、上のように答えることじゃなくて、前に太字で書いてるとこ。

依頼に至っていない段階では、相談者さんがそのあとにどんな行動をとるか、相談者さんを取り巻く状況がどうなっているのか、わからない

言い換えるなら

相談者さんの周囲には行政庁もある、他の行政書士もいる」ってこと。

このへん常に想像する癖をつけて、フォローする回答をできるだけするようにしとくのか、そうじゃないのか。そこがちりも積もればで1年かけて相当な差になっていくはず。数年も経てば、そりゃあもう。

ホームページ営業っていうのは、紹介と違って紹介者からの信用を前借しておくことができない。出たとこ勝負なわけですよ。

だからホームページを効果的に活用するっていうのは、ホームページ内に何をかけばいいとかも確かにあるんだけど、そっから先、実はホームページ外のところに依頼可能性の大きな要素があったりする。

「SEO対策ではメタキーワードがどうの」とか、「Googleウェブマスターツールの使いこなしがどうの」とか、そういう細かい技術的なところだけが大事なわけじゃないのよ、むしろ人間と人間の織りなすハーモニーが大事なのよ、というお話。たぶん。

↓参考になりましたでしょか。
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